初めて大衆演劇を観に行った話

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きっかけは、劇団朱雀でした。

それまで私の中にあった大衆演劇の知識って、『温泉で観るやつ』という何とも大雑把かつ雑なもので...大変申し訳なさ...。
でも、朱雀の2019年復活公演と2020年ぎふ葵劇場幕引き公演の2つを観て、なんて楽しくてなんて幸せな空間なんだろう!と、いたく感動したわけです。
いつか他の大衆演劇も観に行ってみたいな...とぼんやり考えてはいたものの、相変わらずのコロナに加えて仕事がてんやわんやになったりプライベートでも嫌なことがあったりですっかり忘れてしまっていた折、なぜだか急に覚醒する我。

そうだ、大衆演劇観に行こう

恐らく色々なことが重なって心が死にかけたその時、癒しを求めて記憶の引き出しに眠っていた幸せな思い出が不死鳥のように蘇ったのだと思います。
そんなわけで去る2月26日、愛用のリュック(缶バッヂがいっぱいついている←これ伏線)にカメラをぎゅっと押し込んで篠原演芸場に向かいました。

*今回篠原演芸場を選んだのは、太一パパこと葵陽之介さんが出演していたから
*2月の篠原演芸場は、劇団鯱さん!

 

注:
『朱雀も大衆演劇じゃん。初めてじゃないじゃん。タイトル詐欺!』とツッコミが入りそうなので補足しておくと、あくまでも個人的な意見ですが、劇団朱雀は大衆演劇という大きな括りから1つ上の段階にいらっしゃると思うのですよね。
大衆演劇専門劇場や温泉での1か月単位で公演行っている、そして日本全国を転々と巡る旅の一座なthe大衆演劇を観に行くということで、今回タイトルに『初めて』をつけさせていただきました。

 

■優しい諸先輩方との出会い~1部 ミニショー

 とにかく右も左も分からない新参者。当日券で1番後ろの隅っこでもいいから見れたらいいな、満席でダメだったら大人しく帰ろう、という心持で入場列に並びました。入場券は大人1枚1,800円。安い。

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特に予約確認もなく買えたので、無事見れそうでまずは一安心。靴を脱いで、下駄箱に入れて、受付スタッフさんに当日券の旨を伝えます。入場券に加えて席によってプラス料金が発生するので、払います。
(これ知らなくてお財布しまっちゃってて、あたふたとまた出すという恥ずかしさ...)

笑顔の素敵なスタッフさんが「席どこがいいですかー?」と中へ案内してくれて、「初めてなので見やすい席があれば...」と伝えると、「4列目か...あ!2列目も空いてますね!」と2列目のど真ん中に連れて行ってくれました。
篠原演芸場は前方席が座椅子&座布団なので、プラス300円。それでも2,100円だから、普段の舞台のチケットから考えたら破格の値段...!

 初めての場所にこれでもかというくらい緊張して、体育座りで出来るだけ体を縮こませながら開演を待っていたところ。

「ねぇねぇあなたちょっと!」

と後ろから声が。何かマナー違反でもしちゃった?!この席座っちゃダメだった?!と涙目になりそうになりながら振り返ると、満面の笑みのおばあちゃま。

「さっき入ってくるところ見たんだけど、あなたリュックに缶バッヂたくさんつけてるじゃない?もし良かったらこれあげるから貰って!(←伏線回収)

と、座長さんのポストカードと缶バッヂのセットをくださいました。

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驚きと嬉しさであぅあぅしながら「わわわわたし今日初めて観るんですけど頂いて良いんですか?(;´Д`)」と尋ねたら、「あら!初めてなの!良い時に来たわね!←これ伏線いらなかったらぽいしちゃっていいから!(*'▽')」と颯爽と去っていくおばあちゃま...

劇団鯱のファン優しい!

がちがちに固まっていた緊張が少しほぐれました。ありがとうおばあちゃま...!

 少し余裕が出てきたのでぐるりと客席を見回すと、なぜかみんなアルミホイルに包まれたおにぎりを食べている。それこそ、持っていない人がいないくらい。
調べたところ、篠原演芸場っておにぎりが日本一美味しいことで有名なんだって。
折角だからと売店に行ったけど、もう釜めしおにぎり1つしか残っていませんでした。白米のおにぎりが食べたかった...残念...

 席に戻ってしばらくしたら、隣にお姉さんが。周り全然いなくて寂しかったから、勝手に安心感を覚えてみたり(*'ω'*)そんなこんなしているうちに開演の時間。この日は1部がミニショー、2部がお芝居『遠山の金さん』、3部が舞踊ショーです。(ミニショー無しでお芝居から始まる時もあるみたい)

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普段絶対撮影NGの舞台を観ている身としては本当に撮っていいのかという疑心暗鬼になりつつも、とりあえずカメラを手元に置いて緞帳が上がっていくのを見つめます。役者さん達が華麗に舞う姿にうっとりしつつ、周りの人が撮っているのを確認してから私も何回かシャッターを切りました。
ここで運命の出会いが待っているのですが、これはまた後程...

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1部のミニショーはだいたい30分くらいなのであっという間。撮れ高チェックをしていたら、「立派なカメラですね」と声が。顔をあげてみると、隣のお姉さんが話しかけてくれていました。初めて来たことや写真が好きなことなどをこれまたあぅあぅしながら伝えると、「今日初めてなの?!良い日に来たね!今日千秋楽なんだよ!(←伏線回収)きっとみんなパワー全開でやってくれるよ!」と満面の笑みで答えてくれるお姉さん。全くの無知な私に役者さんたちのことを教えてくれたり、おにぎり買えた?と心配してくださったり、飴ちゃんくださったり、もうとにかく優しいお姉さん。

 劇団鯱のファン優しい!!(2回目)

 選んだ席がどうやらキャンセル分だったようで、初めてが鯱でこの席で本当に良い日に来られたね!良かったね!と、まるで自分のことのように喜んでくれました。優しさが嬉しくて、あたたかくて、アタシ泣いちゃう...。結局このお姉さんと缶バッヂのおばあちゃまとは連絡先を交換することもなく、『またどこかで会えたらいいね』とバイバイしたわけですが、初めての大衆演劇を余すことなく楽しめたのはこのお2人がいたからこそと言っても過言ではありません。いつかまた会えたら、お礼を言いたいなぁ。一期一会の出会いに、心から感謝!

 

■2部 お芝居「遠山の金さん」

*お芝居は撮影NG

かの有名な遠山の金さんを初めて観ました。こんなお話だったのね...!
座長の政次さんと若座長の獅子丸さんは親子なのだけれど、この親子の掛け合いがもう面白くて! おっかぁだけじゃなくておっとぉにも孝行してあげてねw
笑いあり、感動あり、チャンバラありで、時代劇に馴染みが無くてもすっと世界観に浸ることが出来ます。政次さんの金さん、激シブで素敵だった...(*ノωノ)

 

■3部 舞踊ショー

 歌あり、踊りあり、女形ショーあり!正に豪華絢爛という言葉がぴったりです。
噂に聞いていたおひねりも、たくさん行われていました。
初めて来たにも関わらず、もうこの時には鯱さん大好きになって、シャッターを切る指が止まらない止まらない...。とはいえファインダーばっかり覗いているのも勿体無いので、撮って・見て・撮って・見て・拍手して、の繰り返し。

獅子丸さんの女形が本気で惚れちゃいそうなくらい美しかったり。

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ダンディズムな政次さんにドキドキしたり。

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好太郎さんのおちびちゃん登場でほわほわしたり。

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そしてもちろん陽之介パパも!

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千秋楽ということで最後は全員からひと言挨拶。
集合写真も撮ることが出来ました。

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 お孫さん(獅子丸さんの息子さん)抱っこしてる政次さん撮ってたら「撮れた?大丈夫?(∩´∀`)∩」って聞いてくださって、首がもげそうになるくらいブンブン縦に振る我...しゅきぴ...()

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■新しい推し爆誕

実は緞帳が上がった瞬間から気になっていた子がいました。
今回鯱さんと合同で公演を行っていた劇団舞姫の役者さん。
名を、葵翔太郎くんといいます。

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ぴちぴちの19歳

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関西中心で活動されているようなので観られる機会は少ないかもしれないけど、細々でも応援していけたらいいなぁ...(*‘∀‘)

 

■とどのつまり...

大衆演劇の幸福度の高さ半端なし!

初体験なことがたくさんでこれまたたくさん緊張したけど、思い切って行ってみて本当に良かったです。何事も最初が肝心だと思うので、初めての大衆演劇が劇団鯱さんで、ファンの皆さん優しくて、良い席で観ることが出来て...たくさんの幸運が重なって最高に幸せな初めてでした。
鯱さんもまた観たいし、まだ知らない劇団の公演にも行きたいし、大衆演劇の世界にもっともっと触れていきたいな!